2013/04/22

ボストン爆破 [3] 被疑者拘束

2013年4月15日14時45分頃、アメリカ北東部・ボストンで開催されていたボストンマラソンのゴール付近で2回の爆発が起きた。3人が死亡し170人以上が負傷。

19日未明、捜査当局はボストンの西約16キロのウォータータウンで被疑者の男1人を銃撃戦の末に拘束、男は搬送先の病院で死亡が確認された。残る1人の被疑者の男は逃走した。

19日夜、ボストン近郊ウォータータウンで、逃亡していた被疑者(19)の身柄を拘束した。警官隊との銃撃戦で重傷を負い病院で治療を受けている。

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The police finally captured the suspect. The brothers are believed to have orchestrated the bombing.
Police launched a probe into the incident promptly.



先日、被疑者1名が生きたままで拘束されました。これから動機、他の協力者の有無等が明らかになると思います。

ボストンには友人知人が住んでいるので、事件が収束してホッとしました。でも、模倣事件・類似事件がおきないか、心配です。亡くなられた被害者3名は帰ってきませんし、今も怪我で苦しんでいる被害者の方々にとっては、苦しみはずっと続くのですよね。そんなわけで、私としては被疑者拘束のニュースをきいてもなんだか心に苦いものが残ったままです。

今のところ、こちらの報道のポイントは、逮捕された19歳の被疑者に対する司法手続にシフトしています。報道によりますと、まず、ミランダ警告(黙秘権告知)をすべきか否かが議論されています。捜査当局は、ミランダ警告をせずに被疑者の尋問を行う方針だそうです。ミランダ警告の例外があるとは知りませんでした。アメリカは被疑者・被告人の人権保障が手厚いというイメージだったのですが、テロとなると扱いが違うのでしょうかね。

私のアメリカ人の友人にきいてみたところでは、今回の事件の重大性からしてこういう反応は止むを得ないだろう、捜査機関が被疑者に黙秘権告知をしなかったことをもって裁判所が問題視することも考えにくい、とのことでした。

また、今回の事件はボストンで起きたのですが、連邦法で裁くか、州法で裁くかという問題もあるそうです。マサチューセッツ州は死刑制度を廃止していますが、連邦法ではまだ死刑を存置してます。今回はボストンにある連邦地裁で行われるようですが、もし死刑を求刑した場合に、死刑判決を廃止した州の住民であるボストン市民がどのように判断すれば良いか、悩むのではないか、と報道では言われていました。日本では確かにそのような場面はないですが、アメリカは州法と連邦法で扱いが違うのですよね。

なお、被疑者兄弟の身内のなかには、この弟(19)は兄に利用されただけだ、という意見もあるようです。兄のほうは過激派として FBIにマークされていたこともあるそうですし、おそらく兄の方がリードしていたんだろうなぁという感想もききます。仮に兄が首謀者で弟が手足となって利用されただけだとしたら量刑は変わるのでしょうか。

さらに、裁判となればマサチューセッツ州でトライアルを行うのか否かも問題みたいです。陪審員が公正に判断できるかが難しいから。身内の方が直接の被害者だった人は外されると思いますが、直接の被害がなくとも、ボストン市民の現状の感情を考えると、誰しも多かれ少なかれバイアスはかかっているものと思われます。報道で万歳をしている市民を見た方もおられると思いますが、現地の雰囲気はそんな感じみたいです。

私はアメリカ社会や歴史、刑事司法にそれほど詳しいというわけでもなく、こちらに来て日が浅いこともあって、どうこう評価できる能力もなければそんな立場にもないのですが、この事件を通じて、アメリカの人たちのテロに対する根本的な恐怖などの感情、9・11のトラウマ、改めて認識させられました。
 

その他、アメリカの捜査機関のハイテク装備に驚きました。 ロボットやヘリコプターからの赤外線透視などの技術を駆使して被疑者拘束につなげたそうです。日本の警察もこれほどの技術はあるのでしょうか。日本でだってこういうホームグランドのテロ事件が起きないとも限らないわけですから、警察も体制を整えてほしいですね。



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